八木 第20稿
エピソードトーク、確かに全然思いつかない。
同じような出来事を経験したのに
自分はできず、他の人はできていることがある。
芸歴20年をこした時にひょっとしてエピソードトークは出来事が起きる前に予感をさっちして
出来事でスケッチして、後で編集するんじゃないかと思った。
その通り予感をさっちして、出来事をスケッチして、編集して見て話してみた。
ウケた。初めてエピソードトークでウケた。
すでにデビューして20年が経過していた。
考えたら誰もエピソードトークの作り方を教えてくれない。
珈琲の入れ方のように、水とマメの分量、何回かに分けてお湯を注ぐとか
エピソードトークの作り方も教えて欲しかったなあ。
公平
ご自身では否定するかもしれないが
私に言わせれば八木さんは昔から「エピソード王」だ。
そう。知らない間に周りに提供している。
その数まさに無限。
大阪時代、私は毎晩のようにごちそうになっていた。
ある日居酒屋での話。
八木さんは、いつものように
私に仕事の話をしながら「遠慮せんと飲んで食べな」と
ビールやテーブルの焼き鳥、コロッケなどをすすめてくれた。
終盤、お酒も進み、話にも熱が入り出した頃
「コロッケは明日仕事なにしてんの?
コロッケが明日休みやったら…」
と八木さんは公平とコロッケがごっちゃになってもなお
熱く仕事の話をしていた。
もちろんそこで後輩の私はつっこまない。
家に帰って珈琲を飲みながら
その話をノートに書き留めておくのである。