八木 第17稿

公平の食べ方、自らが語るように独特らしい。
独特といえば食生活もそうだろう。
家族で住んでいると、自分が好きでない物も出てくる。
季節になると、タケノコとワカメが炊いた物、サヤエンドウと豆の炊いた物、みかん、など食卓に並ぶ。
一人暮らしだと自分の好きな物しか並ばない。
僕も今の、東京で単身赴任である。
冷蔵庫には好きな物しか入ってない。
冷蔵庫にはコカコーラゼロと冷凍庫にはハーゲンダッツマカダミアしか入っていない。
ただ大量に入っている。
独特といえば独特だ。
ただ一人暮らしで、まんべんなく揃っていてもしっかりしすぎて独特となる。
普通とはちょっと崩れた状態を言うのかもしれない。
そういう意味でも口で誘いにいく、公平の食べ方は普通なのかもしれない。
公平が珈琲ゼリーを食べる時はマックス口で誘いに行くのだろう。
でもそれも普通なのである。

公平

独特といえば
先日田舎ならではのことがあった。
朝、車で事務所に向かう途中、ポツンと1件スーパーがあるのだが
そこの前で、おばあさんが1人手を挙げて車を止めようとしていた。
何かあったのかもと思い止まって窓を開けたら
「そこまで乗せていってくれませんか?」
といい乗り込んできた。
びっくりしすぎて断る暇を与えられる事もなく
おばあさんは助手席に座りしっかりシートベルトを締めて
さあどうぞと言わんばかりだ。
車を走らせてそこの踏切のところまでという。
1分ぐらい走ってもまだ踏切など見えてこない。
「スーパーまでどうやって来はったんですか?」
「歩いてや、えらい遠いんやありがとうね」
都合3分ぐらいの場所でおばあさんを降ろした。
お礼だといってりんごをもらった。一応断ったけど
たいしたもんじゃないからと置いていかれた。

降ろした後、あれ?年寄りが歩くには遠すぎるよな?
幽霊ちがうよね!?とシートが濡れていないか確認したぐらい
不思議な感じだった。

その後いつもどおり農作業をして珈琲で一服している時にふと思った。
ひょっとしてあのおばあさんが少しボケていて
家族の人と来てたのを忘れて、勝手に自分だけスーパーから出てきて
手を挙げていたんじゃないか?と。
ちょっと不安になった。
まぁ買い物袋も持っていたので大丈夫だとは思ったが
一応帰りにスーパーに寄って
店の人におばあさんを探している人がいなかったか聞いておいた。
自分は初体験だったが
田舎的なヒッチハイクは
普通なのかもしれない。




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