サバンナ八木 かやぶき君 223

サバンナ八木 かやぶき君 223

自分が寝返った場合はどうなる?
この質問に家老は固まった。
一人の家老が切り出す。
そんなことができるのか?
僕は説明する。
このまま対等な和平ができないとなると全面戦争になる。
そちらの国より小さいとはいえ、国力は三分の一程度ある。
そちらの国のダメージもかなりのものである。
それなら、私が自国に帰り、和平が成立したと伝え、調印式まで持っていき、その時に我が国の大名を打つと言うのはどうでしょう。
家老は黙って考える。

公平

急にバスに乗り込んできた3人の男。
手にはライフル銃らしきものを持っている。

「バキューン!」

男の1人が天井に向けて撃った。
天井に小さい穴があいた。

「俺たちはバスジャック!」
「このバスは俺たちがジャックした」
「言う事を聞かないと!痛い目にあうぞ!」

セリフの割り振りもバッチリだ。
かやぶき君も他の乗客も圧倒されて
ポカンと口が開いた状態だ。

「いいか!よく聞け!今から注意事項を言うぞ!」
「よく聞いとけよ!痛い目にあうぞ!」
「まず1つ目!」
3人の息はぴったりだ。

「走行中は立ち上がるんじゃないぞ!危険だぞ!」
「2つ目!」
「気分が悪くなったり、しんどくなったりしたら
遠慮なく俺たちに言えよ」
「はい!3つ目!」
「携帯電話の電源は付けておいてもいいが
音を鳴らさないように!もちろん通話もダメだからな!」
「以上の事を守って
俺たちのバスジャックに
付き合ってくれ!何か質問はあるか!?」

3人の男たちは乗客に尋ねた。

かやぶき君はそっと手を挙げた。
男の1人がかやぶき君を指さして
「なんだ?」
「あっあの?皆さんは何が目的ですか?」
こんな場面でヅケヅケと手なんかを挙げたりできるのが
かやぶき君のいいところだ。
「おぉいい質問だな。ズバリお金だ!」

近年バスジャックがブーム。
国民のほとんどがバスジャックを経験したことがある程だ。

バスジャックにも
アイドル系、お芝居系やバンド系
また今回のようなアトラクション系と色んなグループが出てきた。
たいていは3,4人チームで乗りこんでくるが
中には20人ぐらいでジャックするグループもある。

最近では贔屓のバスジャックに当たれるように
1日中いろんなバスに乗る「ジャクラー」なる人たちも現れた。

かやぶき君が今日このバスに乗ったのも
彼女のミサに誘われての事だ。
ミサのお目当ては
アイドルバスジャックグループ「バスアラシ」だったが
今回乗りこんできたグループ「USJOB」というグループもなかなかの人気グループで
ミサもしてやったりの顔をしている。
USJのOBの人達で結成されたバスジャックグループらしい。

だいたい30分ぐらい拘束されてから
解放されるのが主流である。
お金は乗客からもらう事がほとんどだ。
中にはバス会社に何割かを支払うと噂されるグループや
逆に雇われるスタイルの「契約ジャッカー」もいるようだ。