サバンナ八木 かやぶき君 147

サバンナ八木 かやぶき君 147

その女の子のことが気になってしかたなかった。
もう一度チャレンジする。
これ良かったら、ドリンクを持っていく。
女の子はちょっと、間があったが、ありがとうと言ってくれた。
あれ見て、鴨がいる。
鴨川だから、鴨がいるんだね。
この上流にいくと、オオサンサショウウオがいるんだよ。
ラジオのパーソナリティのように一方的にしゃべる。
そして、女の子が言った。
すごい詳しいですね。
そう言った女の子の笑顔がたまらなく可愛かった。

公平 

かやぶき君がベッドで目覚めると横に女はいなかった。

Barで声をかけられそのまま一緒に飲んだ女を部屋に連れて帰った。
軽い二日酔いの頭を起こすとテーブルに折りたたまれた手紙が置いてあった。

「素敵な夜をありがとうございました。
淋しい私を優しく包んでくださったこと忘れません。
昨日の夜、ここなら、このかやぶき君なら
私の事をほったらかしにしないと思いここに決めました。
あなたが目覚める前に先にいきます
彩佳」

「あの子 彩佳って言うんだ」
手紙をテーブルに戻し
もう一度ベッドに仰向けに寝転んだ。
なんとなく昨日の夜のことを思い出していた。

ぼーっと天井をながめていると
部屋のクローゼットの隙間から気配を感じた。

あれ?
ひょっとしてあの子まだこの部屋にいてるんじゃないの?
こんな置手紙を書いて
さあ行こうとしたときに、俺が起きたもんだから
出るに出れなくなってんのかな?

ん?いや、待てよ。
油断させておいて 俺が部屋を出た後に
この部屋をアサるという
新手の泥棒!?

ん~なわけないか!
なんて考えながら クローゼットを開けると

そこで、女が首を吊っていた。