サバンナ八木 かやぶき君 92

サバンナ八木 かやぶき君 92

男前の男性が、ラインを交換しようとする。
綺麗な女性は、携帯、どっかに置きっ放しにしてたとかわす。
店内に安堵の空気が流れる。
スープ専門店で始めたのが、サーファーの溜まり場のようになってきた。
長髪の常連さんが、僕に話しかけてきた。
普段、ほとんど喋ることがない常連さんだったのでちょとビックリした。
長髪の常連さんは週末に、この店でDJイベントをやらせて欲しいと言われた。
全く断る理由もないのでいいですよと答えた。
あまりに即決なので、常連さんはびっくりしていた。

公平 

かやぶき君と山下は土手のベンチに座り夕焼けを見ている。
「きれいな夕焼けだなぁ」
かやぶき君は遠く離れた美山の空を思い出していた。

「おれは夕焼けは嫌いだな」
山下はぼそりと呟いた。
「だってさぁ今日1日充実してたら見え方は
そらぁ変わるかもしれないけど
俺みたいに何もしてなかったらさぁ
むなしい気分になるんだよな」
山下は先月仕事を辞めたばかりだ。

かやぶき君はその前からしばらく仕事をしていなかった。
もちろんそんなかやぶき君が山下にかける言葉はなく
ただ夕日が沈むのを並んで見ていた。