サバンナ八木 かやぶき君 91

かやぶき君 91

東京でモデルをしている男前が、みんなのマドンナに声をかける。
みんな、それぞれ、話をしていたが、急に店内が静まりかえる。
男前が店中に聞こえる。
今日は一人できたんですか。
綺麗な女性は答える。
一人というか、常連さんみんな友達なんで。
男前はさらに質問する。
好きな人いるんですか、いなかったら僕と遊びましょう。
店内が水を打ったように静まりかえる。
綺麗な女性が答える。
好きな人は、いると言ったらいるかなあ。
店内の男性、全員が意識をしだした。
綺麗な女性、好きな人がいると、いうことは、彼氏はいないということだろう。
店内の男性はその宝クジのような微かな可能性に酔うのだった。

公平 

吉村はバイトの同期のかやぶき君を家に呼んだ。
カレーを作り過ぎてしまったので食べに来てもらったのだ。

「俺カレーがめちゃめちゃ好きで将来はカレー屋でもしようと思ってるんだ」

「そうなんだ。そんなバイト仲間がいて僕はラッキーだ。
ところで吉村はこのドラマ毎週観てるの?」

かやぶき君はTVを指さした。
連続もののドラマだ。

「先週から始まったやつな。なんかこいつとこいつが親子で
色々悪さする感じらしいよ」
「あぁどうりで。なんか目元のあたりが似てると思ったんだよね」

吉村は自分で漬けたピクルスをテーブルに出した。
香辛料から作った感じのカレーの臭いが部屋に立ち込める。