かやぶき君 64

かやぶき君 64

女将さんの手を握る。
とりあえず、もう一軒、行こうと誘う。
居酒屋終わりの居酒屋からのバー。
空いてるだろうかと思いきや、やってる店があるという。
今まで気配を消していたマスターがバーを教えてくれた。
僕も酔っているが女将さんもだいぶ酔われている。
二人分の会計をすませ、女将さんの手を引っ張り、バーに入る。
そしてテキーラショットをたのむ。
ライムをかじり、女将さんと一緒に一口で飲みきった。

公平 

映画のエキストラのバイトに来ていたかやぶき君。
特殊メイクをしての宇宙人役だ。

休憩時間に同じ宇宙人役のバナーヌと仲良くなる。
よくよく聞けばバナーヌもバナナから進化した怪獣らしい。
バナナ剥いて、爪楊枝で顔などを彫るアートが流行った時代に
めちゃくちゃ上手く彫られたバナナに魂が入ったことで
バナーヌ誕生したらしい。

バナーヌとは共通点もたくさんあり
すぐに仲良くなれた。
もう撮影が始まって1週間。
お互い自然発生的に
毎日自分のおすすめの1品を持って来て
紹介しあうようになった。

そして昨日バナーヌはかやぶき君に
「おすすめはお互い無限にあるから
ご飯に合うものというくくりを設けないか?」
と提案してきた。

今日のかやぶき君のカバンの中には
サバ缶とマヨネーズが入っている。
かやぶき君的には
撮影よりもそちらに重点が傾きつつある。

そんな二人の役は
Wi-Fiを妨害し、各家庭のネット環境を悪くするという
IT系の悪役である。

主役のヒーロー「ジェッタリンリン」は
スマホが使えなくなり苦戦を強いられる。