かやぶき君 34

かやぶき君 34

フリーボトル3000円の店。
乾き物だけでは寂しいというのがあり、鍋を作って置こうかと思う。
出汁はその時によって変えていく。
その時に旬の野菜を鍋に放り込んでいく。
そこに豚バラを入れる。
これでだいぶ違う。
醤油や塩、カレーなど日によって出汁を変えようと思う。
相撲部屋のチャンコのようなイメージだ。
しめには、乾麺を用意して、そのスープで割ってしめれるシステムにしようと思う。
お客さんの健康管理をすることによって長く常連さんでいて貰おうと思うのだ。
鍋を作るのにどれぐらいのコストがかかるかわからなかったが300円あれば一人分は作れそうだ。
セット3000円、食べて飲んで貰っても原価1000円という計算をするのであった。

公平 

「昨日まではなかったよな」
かやぶき君はメーテ、アース達と確認しあった。
駅前で3人で少しお酒をひっかけて帰るいつもの道に
突如意図して現れた、ロッジ風のお店。

確かに酔ってはいたが
意識はしっかりしていた。

店の灯りも付いている。
看板も出ている。
自家製ウインナーが売りのようだ。

中に入ると
まず目に飛び込んできたのは薪ストーヴだ。
それを囲むようにお客さんらしき人達がいた。
中には外国人のグループもいる。

マスターらしき風貌の男が注文を聞きに来た。
3人ともポトフセットを注文した。

程なくしてポトフが運ばれてきた。
ポトフの中に自家製であろうウインナーや
良く煮込まれていそうな野菜がゴロゴロた入っていた。
すでに美味しそうなにおいがする。

メーテはポトフを一口。

「う…うますぎる…間違いなく
い…今まで食べたポトフの中で1番だ…」

かやぶき君の手前
何かを言わないといけないと思った
アースも

「このセットのジュースのグラス…
俺はこんなきれいなグラス見た事が無い…」

とグラスを褒めだした。

そして
かやぶき君はセットのパンをひとかじり。

「よく焼けてる」

よく焼けていたのである。

ただかやぶき君は
この雰囲気、このにおいにどこか懐かしさを感じていた。
2人を誘って入ったのも
思い出に引き込まれた感じもあったからだ。

そうだ!父親だ。おやじのにおいだ。
たたずまい、雰囲気、あたたかさ。

かやぶき君はポトフを大事に
口に運んだ。