サバンナ八木 かやぶき君 32

かやぶき君 32

オーナーさんが夢の提案をしてくれた。
今空いている店舗を使っていいというのだ。
家賃は払わなくていい、そのかわり、オーナーがきた時、オーナーが連れてきたお客さんは全てただにしてくれたらいいという条件であった。
オーナーさんは自分のプライベートバーというのを持ちたかったそうだ。
いわば、オーナーさんのプライベートバーを管理する役目でもある。
オーナーさんのプライベートバーというコンセプトなので、店の雰囲気をオーナーさんと決めていく事にした。
どんな酒を置くのか一から話し合うのであった。

公平 

58日修行を明日に向かえたかやぶき君は
村のみんなに壮行会をひらいてもらっていた。

「かやぶき君がこんな小さな村のために修行に旅立ってくれるなんて
なんとお礼を言っていいか」
「お礼は無事に帰って来た時にいただきます」

58日修行とは
58日間、食事せずに水だけで
日本中30カ所以上あるスタンプを集めて回るという修行である。
(イベント会場や動物園などにあるスタンプラリーは
この修行をもとにつくられたものだ)
修行に旅立った者の中には
亡くなったものもいる。
このスタンプを見事期間内にあつめる事ができれば
村の繁栄そして、達成者はその村で皆からあがめられる。

「ちなみになんですが僕が途中食べない事を
誰かが監視してくれているんですか?」
「監視?そんな者はいない。すべて自己申告だ」

「では一番注意すべきところはどこですか?」
「スタンプの押すページ間違いじゃ。
過去にチャレンジした者の中にページ間違いで失格となり
死んだ者もおる」

かやぶき君は空を仰いだ。
満点の星空につつまれている感じがした。