サバンナ八木 かやぶき君 20

かやぶき君 20

彩月さんが泣いてるのを見て、それ以上、聞けなかった。
海を見て、今魚が跳ねたと話題をそらした。
夜の海の水は冷たかったが、くるぶしまで入って、彩月さんを驚かせた。
くるぶしまでのつもりが、波のおかげで膝まで濡れた。
さすがに彩月さんは笑ってくれた。
今日は流れ星が見れて楽しかったと、流れ星を見る会をしめにかかった。
「とりあえず、カフェの所まで送りますね?」
そう言って彩月さんをカフェの前まで送っていった。
そこで、さよならしたんだけども、あの涙は何の涙だったのか、気になってなかなかねれなかった。
ラインに彩月さんからメッセージが入った。
「凄く今日楽しかったんだけど、泣いてしまってゴメンね。今日のことは忘れてください」
「こっちの方が楽しかったし」
メールを打ち終わり、目を開けば朝になっていた。

公平 

かやぶき君が納屋を整理していた時の話。
かやぶき君は埃をかぶったランプを見つけた。
骨董品ではあるが、おそらく磨けば
輝く黄金色のランプだった。

部屋にもどり早速ランプを磨いたところ
ランプから煙があがった。
あら不思議、なんと煙と共にまあまあ大きな青い男が現われた。

「えっ!?ひょっとして?あの…?」
「たまに間違えて俺の事をアラジンと呼ぶ奴がいるがそれは違う。
おれは魔神ジーニ。ランプの魔神ジーニだ。」

「ひょっとして願い事をかなえてくれる感じですか?」
「いかにも。3つまで叶えてやる。とりあえず美人の女を出せばいいか?」

かやぶき君が戸惑っている間にジーニはさっさと女を出してしまった。

「ほら出してやったぞ」
「ありがとう!」
出てきた女がジーニにお礼を言った。

おいおい、勝手なことするなよ!と言いたい気持ちもあったが
女の前でそんな事を言うのは失礼だと思った。
また、確かに美人だしそういう願いもありかと少し思った。

「なぁかやぶき君。この女どうらや腹が減ってるらしいんだが
何か食べさせてやってくれないか?」

かやぶき君が嫌と言えない性格と知っての言動か
ジーニはどんどん余計な提案をしてくる。
どんな言い回しで、その提案を断ったら女を傷つけずに
自分の願いを伝える事ができるか。
考えているうちに
ジーニは目の前のテーブルに豪華な料理を出した。

「わーありがとう!こんな豪華なお料理見た事がないわ」
女は涙目になって喜んだ。

府に落ちないかやぶき君は、
何か願い事をしなければこのペースで
あと1つも勝手に決められてしまうと必死で考えた。

とりあえず一旦落ち着こうと提案し
3人でテーブルに座り
料理を食べる事にした。
豪華な中華だった。

食事中、2人に色んな話を聞いた。
ランプの中がどんな感じになっているのか。
他にも何人か魔神やら女がいて寮みたいになっている話。
先日、魔神の1人がバイクで事故った話。
かやぶき君も色々教えてあげた。
屋根の萱を葺き替えるのにまあまあお金がかかる話。
蒼井そらが結婚した話。
仮想通貨だひどい目にあってる話…。

短い時間だったがとても楽しい時間だった。

食事の終わり際
ジーニがこんな事を言ってきた。

「なぁ、かやぶき君。この女を自由にしてやってくれないか?」