サバンナ八木 かやぶき君 369

サバンナ八木 かやぶき君 369

まさかのムエタイとの勝負になった。
ムエタイは、賭けの対象になっている。
日本からきた、カラテがムエタイにどこまで通用するか、いやがおうでも盛り上がる。
札を上に上げ、ムエタイだという男、おれはカラテに賭けるという男もいた。
オッズでいうと、1対8であった。
もちろん、ムエタイが勝つと予想する。
よってムエタイの声援の中で闘うことになった。



サバンナ八木 かやぶき君  370

ゴングが鳴る。
ムエタイ選手は、両手を頭の上まであげ、後ろ足に重心をかける、アップライトの構えをみせた。
それにたして、カラテ家は、足幅のスタンスを広くとり、前後の出入りのスピードを意識したスタイルをとった。
カラテ家が仕掛けた、一気に距離をつめ、右の直つき、そっからの左中段蹴りにつなぐ。
カラテ家は一瞬、顔をゆがめた。
蹴りをしっかりムエタイ選手はスネでガードした。
そのスネが硬かったのだろう。



公平 かやぶき君

田舎道をトラクターで旅をしだしてから75日目。
かやぶき君はついに第一の目的地であるライオン峠にやって来た。
このライオン峠には伝説があり
「この峠で困っているおばあちゃんがいたら声をかけてやれ、運がめぐってくる」
といったものだ。

ぐるりまわりを見渡しても人の影はない。
ただ少し先の切り株に1匹のウサギが丸まっている。

かやぶき君はピン!ときた。
近づいて行って話し相手かけた。

「ウサギさん。ひょっとしてなにか困ってないか?」

「…」

かやぶき君はそもそもウサギの言葉を話せない。