サバンナ八木 かやぶき君 363

サバンナ八木 かやぶき君 363

船にずっといたので、地面を踏みしめる喜びはひとしおである。
台湾の街で、少しの間、滞在させて貰うことになった。
日本からもってきた、黄金は絶大な威力があった。
旅館に泊まり、中華料理をいただくことになった。
釣った魚も美味しかったが、この中華は驚くほど美味しかった。
油と強い火を使うのが、たまらない。
カリッと上がった豚を黒酢の餡にからめる。
ほっぺがおちるとは、こういうことをいうのだろうか。

サバンナ八木 かやぶき君  364

台湾の夜は楽しかった。
食糧と水を補充して、イギリスに向かう。
そして次の中継地点の目標はベトナムである。
夏前に出発したというのもあったが、この辺りの海は本当にあったかい。
そして驚くほど、水が綺麗だった。
潮の流れがない場所で、船をとめて海に潜る時気持ちよかった。
そして、アワビやエビもとることができた。
それを夕食に食べるのが楽しみだった。


公平 かやぶき君

かやぶき君は洋館のロビーで警察に、事情聴取をうけていた。 外はポツリポツリと雨がふってきた。
洗濯物の事が気になったがすぐに諦めた。

この街に来た当時から
山の上にこの洋館があることは知っていた。
しかしまさか自分が洋館の中に入る日がくるとは思っていなかった。

3週間程前、ポストに直筆の手紙が送られてきていた。
手紙の主は、絵画教室で仲良くなった時東という男だった。

まさにその時東こそがこの洋館の主だった。

時東の手紙には
ある記念のパーティーをします。お時間があればぜひきてほしい。もちろんご招待なのでなにも持たずに来てください。
と書かれていた。

金田一でいえば確実に事件が起きるパーティーである。
行かない手はないと思ったかやぶき君は喜び勇んでやってきた。

大きな門の前で玄関のベルを鳴らしたが
反応が無かった。
中からはすでにたくさんの人が集まっているようでガヤガヤとした雰囲気がある。
門を開け入ってゆき、玄関の大きな扉をあけたら
そこはロビーになっており
既に何人もの人が来ていた。

しかしなにやらごそごそしている。
騒動の真ん中であろう方にいってみると
そこに背中をナイフで刺された男が倒れていた。

その男こそ時東その人だった。