サバンナ八木 かやぶき君 224

サバンナ八木 かやぶき君 224

家老が重い口を開いた。
寝返るというのはわかってるな。
もし失敗したらどうなるかわからないぞ。
お主だけではなく、家族や親戚までも皆殺しになる。
信じていた、部下に裏切られるというのは憎悪が倍増する。
普通に殺されるだけではすまないだろう。
それでもやるか?
やります。
真っ直ぐな視線で返事した。
わたしはこの作戦を実行することになった。

公平

ある評論家が
国際スパイかやぶき君
のことについてこう述べている。

「かやぶき君は本質的には裏切り者だ。
大金と酒と女が約束されるなら
どこにでも飛んでいく。 それが敵国であろうと。
彼が持つものは愛ではなく技術技法である。
なぜ殺すかではなく、いかに殺すか。
女を誘惑するか否かではなく
どのタイミングで誘惑するかである。
彼はとても魅力ある男だ。
ただ現代のこのご時世には当然向かない。
そしてだからこそスパイなのである。

彼と契約している国はたくさんあると言われている。
もちろんそれは公開されていない。
「国際スパイ」という肩書は
彼本人が言い出したわけではない。
だいたい彼が噂される「国際スパイかやぶき君」だとしたら
そんな肝心な素性を流布した「誰か」はすでに
抹殺されてしまっているだろう。
そして私も堂々とこんな評論すれば命もあぶない。
匿名でお願いしたい。」