サバンナ八木 かやぶき君 165

サバンナ八木 かやぶき君 165

フリーフォールのあとは、いよいよ、スチールドラゴンである。
スチールドラゴンのレーンを見上げる。
仰け反って倒れそうである。
すいていた。
乗り込む。
どんどん上がって行く。
海が見えてきた。
景色が壮大すぎて、異空間に感じる。
やばいと思ってからまだまだ上がる。
そこから猛スピードでくだる。
ものすごいスピードで。
スチールドラゴンから下りる。
少し足に力が入らない。
もう乗り物はいい、温泉に入ろう。
長島温泉、花水木に行くのであった。

公平 

海の見える岡にそびえ建つ世界と隔離されたこの場所。
生まれた時から
この全寮制の学校で隔離されて育ったかやぶき君は
国が極秘で進めるプロジェクト「天才製造」のメンバーの一人だった。
メンバーはかやぶき君を含め5人。
毎日徹底したスケジュールの中で勉強していた。

校舎からは一歩も出た事がなかったかやぶき君たちだったが
天才ゆえに、この校舎の外の事をなんとなく推測出来るようになっていた。

食事の時間と寝る前の数時間だけ5人での会話が許された。

「あのさぁ昨日おれ掃除の時間に抜け出して
校舎の外の森がどこまで続いてるか走ってみたんだよ。
そしたらさ、森は途中で切れていて大きな壁になってたよ」
リーダー的存在のユンが皆に報告した。

「私も薄々は感づいていたんだけど
その壁の向こうって、ひょっとして何もないんじゃないのかな?」
みんなのおねえさん的存在のメグが続く。

「えー!!どういう事?
僕達あと1年ぐらいで卒業してそとの世界で
バリバリ働くんじゃないの?
外がないってどういう事だよ!」
ソウタが嘆く。

この時かやぶき君は悟っていた。
外には人間を食べる怪物が住んでいて
俺たちは食べられる運命なんだと。

しかし今ここでこんなことを発表して
皆を落胆させるのも意味が無い。

でも俺はなんでこんなに落ち着いているんだろう。
未来に不安がないのか?

確かこの後みんなで脱走しようと試みるんだよな。
あれ? 厳しい勉強?
そう言えばおれ勉強したことないよな。

ん??
あれ?これ夢やな。

夢の中で夢に気が付くことができるようになったかやぶき君であった。