サバンナ八木 かやぶき君 134

サバンナ八木 かやぶき君 134

このノマド、目指してる人が多い。目指すのはある意味簡単である。
それで収益をあげれるかである。
カフェでスマホを眺める。
見ているのは株価である。
9時にザラ場という取引がはじまる。
午前は9時から11時半。
そこから1時間の休憩である。
後場は、12時30分から15時までである。
この時間に板と呼ばれれる、売りたい人と買いたい人の値段と数が書かれた表示を見ながら売り買いをするのである。
これを一日で売り買いするのが、デイトレーダーである。
デイトレをカフェでやれば、これも充分ノマドである。
ただ勝たないと、いつかは資金がつきてしまうのだが。

公平 

桃太郎が雉とサルと犬を連れて
鬼岩城から帰る途中の話。

かやぶき君は桃太郎を呼び出した。
顧問としてこの旅に同行していた。

「戦いの現場をyoutubeにアップしたのは桃太郎、君か?」
いつになくかやぶき君の表情は険しい。

「そうだけど?なにかいけなかった?」
桃太郎は悪びれる様子はない。

「そんな事をしたらせっかく良い事をしたのに
世間の風当たりが強くなる。
なぜそんなことをした?」

「えっ?だってみんな観たいだろうし
なにより証明というか合法的にちゃんとやってますよ
って所をアピールしたかったんだよ」

「わざわざアップする必要はなかったんじゃないのか?
あいつらワザと土下座しだしたの気付いていたのか?」

「えっ?」

「すぐにあの動画を削除した方がいい」

「なんでだよ!」

「そもそも、あの編集の仕方じゃ
雉があまり役にたっていないのが出てしまってて
雉も気分がよくないだろう」

「雉はそんな事気にしてないよ!」

「この桃太郎プロジェクトには
多くの助成金などの公的な資金が使われている
ただでさえ批判が殺到してるのに
あんな動画が評判になったら…」

「給料だけじゃ生活できないし
youtubeでも収益を上げたいんだ。
批判の的になって、再生数が上がるのであれば本望だい」

かやぶき君はどうやって桃太郎を説得しようかと考えた。
「あっそうだ!今インスタグラマーって人が活躍してるの知ってるか?」

「少し聞いた事あるけど…。」

かやぶき君は釣れたと思った。
コンサルの仕事もだんだん板についてきた。