サバンナ八木 かやぶき君 21

かやぶき君 21

二人で流れ星を見に行ってから、あの日のことは夢だったんじゃないかなというぐらい、また普通の生活に戻った。
彩月さんは、前と同じでように、カフェに来た。
ただ二人の中で、あの日の話にならなかった。
二人の中でなかったことになっていた。
前と同じように、天気の話や、波の話をするのであった。
そんな普通の生活をしていると、いつになくオーナーさんが深刻そうな顔て話をしてきた。
その顔でその話がいい話ではないのは想像できた。
「店を閉めようと思うんだ」
その言葉は突然にやってきた。

公平 

勇者やすおは、仲間たちとナンターンの洞窟にいた。
この洞窟の奥に眠ってると言われるミヤーマンの剣まで
攻略本によればもうすぐだ。

「1回洞窟出ない?」

戦士のりおが、うつむきながらつぶやいた。
毒に侵されたその顔は青い斑点が出てきている。

「弱気になるのはわかるけど
いける所まで言ってみようよ。」
魔法使いきみこが、戦士のりおを諭す。

「だいたい薬草ぐらい持って来とけよ!」
憤りを隠しきれない
戦士のりおが声を荒げた。

「いや、薬草は確かにあったんだよ。でも…」
勇者やすおは、言葉を濁したが続けた。
「まだレベルが低いしさ、全員で1回死んでやり直すことも出来るし
なんだったら、セーブしないでこのまま消して
あの宿屋からやり直してもいいし」

「でもこないだのセーブからだと僧侶かやぶきは死んだままよ。」
魔法使いのきみこが言った。

「やっぱり、きみこの魔法でか僧侶かやぶきを生き返らしてもらえないだろうか?」

「おれは反対だね」戦士のりおが言った。
「あいつ、きみこの事が好きだったらしいけど、フラれてから
村人とか宿で一緒になった奴らに
きみこの悪口言ってたんだよ!だいたい僧侶ってなんだよ!
中途半端な!馴染みねーし!」

「僧侶かやぶきはそんなことしないわ!」

「あれ?フったくせに、やけにかばうじゃねえか」

「死んだ仲間を悪く言うのは良くないわ!
だいたい、その話、間違ってる!フラれたのは私の方よ!」
きみこは泣いている。

かやぶき君は死んだままだ。