サバンナ八木 かやぶき君7

かやぶき君 7

隣の芝生は青い。
本当はそういうことなのかもしれない。
しかし、かやぶき君は、どうしても、この湘南の海で淡い思い出がつくりたかったのだ。
淡い思い出をつくらなければと自分に言い聞かせていただけかもしれない。
本当は彼女が欲しかっただけかもしれない。
しかし、かやぶき君にはナンパをする勇気もない。
かやぶきはそこでカフェでバイトをする作戦に出た。
海の前の道沿いのカフェを見てまわる。
そこでバイトの募集をしてないか見てまわる。
一軒張り紙を見つけた。
バイト募集。かやぶき君は何かが始まる予感がした。



公平

かやぶき君が警部に昇格して数ヶ月、
彼は、初めてまとまった休日をとり旅行をしていた。
片田舎のホテルに一人滞在していた彼は
ある事件と遭遇することとなった。

「ケイジサンニ、キョウリョクシテモライタイコトガアル」
ホテルの支配人と女性の従業員がかやぶき君の部屋にお願いにきた。
どうして自分が警察の人間だとわかったのか?
そんな疑問はあとだ
かやぶき君は自分の運命にため息をついた。

事件の概要はこうだった。
厨房で作りかけていたケーキが
目を離したすきに何者かによって食べられたというのだ。

厨房には、お客さんや部外者が入ってくることはないので
おそらく、身内の犯行だろうと話すのは
鼻の先に生クリームを付けたアルバイトの男。

何と間抜けな犯人なんだろうと
かやぶき君は制服の胸にしまってあった
手錠を用意した。